がん患者サポートの会「ぎんなん」が大阪府がん基金助成事業として公開シンポジウム「在宅について考える」を開催しました 

 

2015年2月14日(土)

  14時~17時半

 大阪府のがん基金の助成を

受けて、公開シンポジウムが大阪市立大学医学部附属病院5階講堂に於いて開催されました。
 タイトルは

「在宅について考える」

です。

 

 

 主催者の言葉

 何故このタイトルを選らんだかといいますと、「ぎんなん」は市大病院内にて毎週患者おしゃべり会を開催していますが、病院での治療が終了したのをきっかけに、転院を勧められる患者さんの相談が最近多く寄せられていました。「ぎんなん」には院内・院外を問わず、参加される患者さんのがん種もいろいろです。
病院を出るように言われた患者さんのほとんどが戸惑い、不安を隠せません。「何故自分だけが」。家族の動揺は患者さんを上回ることもあります。夫や妻あるいは子供を守りたい一心で涙を流されることもしばしば。「ぎんなん」を立ち上げた12年前には見られなかった現象です。
 がんの治療法はかなりの進歩を遂げてきましたが、財政難等から来る国の医療政策の転換によって、私達の医療は「在宅へ」と回帰の道をたどりつつあります。家で生まれて家に帰る,from home to home 現象です。考えようによっては悪いことではないのかもしれません。しかし現実には核家族、住宅事情、不慣れな環境での治療の不安等大きな問題を抱えているのが現状です。病院にいれば安心の病院信仰からなかなか抜けられない患者・家族の心の問題があります。
 確かに大変です。しかし「在宅治療」が避けられないのであれば、私達患者も現状をただ受け入れるばかりでは一向に進展しません。患者も今の医療の現状を知ることにより、患者自身の手で「より豊かな在宅」を実現する努力が必要なのではと考えました。
 ということで、先ず今の医療の在り方を皆さんに知って頂くことを重点に今回の講演会とシンポジウムを構成いたしました。いわば「在宅」の概論です。


○講演会では
 1・がん対策基本法によって患者は最期まで自分らしく生きられる権利を教えてい

   ただきました。・・・山本ゆき氏
 2・それでは今病院の現場では、「患者はどのように病院を出されるのか」

   ・・・高島勉先生(市大病院第一外科)
 3・在宅医の立場から、「患者はどのように受け止められるのか」

   ・・・西原承浩先生(きむ医療連携クリニック、医師)
 4・訪問看護師の立場から、「どのような現場が私達を待ち受けているのか。

   在宅の現場は?」

   ・・・横山頼子氏(済生会野江訪問看護ステーション、がん性疼痛看護認定看

   護師)

 

 そしてより多くの方々に関わっていただくために、後半は
○シンポジウム
  座長に中村正廣先生(在宅医療のベテランで東成区医師会会長)をお招きし、乳

 がん患者で卵巣がんの母を看取った河村美智子さんにも参加して頂き、講演を頂い

 た皆様と共に在宅の問題点についてディスカッションして頂きました。

  其々の講演の中身は紙面の都合上省かせて頂きますが、参加者約200人。

 かなり時間的に詰めた内容でしたが、終了まで沢山の方々が残って下さいました。
 休憩時間が少なく参加者の体調が気になり、途中ダメだしをするか迷いました。
  時間がオーバーしたため、アンケートの回収が間に合わず、49名ほどしか回収

 できませんでした。
 一番多かった回答は,今後も「在宅」をテーマに勉強会開催を希望する,でした。

 

 病院…非日常生活での治療、日常生活を犠牲にして治療に専念・・病と闘う
   単独施設のスタッフの関わり
 在宅…日常空間での生活
   生活を支えるための医療・・病と付き合う
   複数施設、他職種の関わり
 それ故「在宅」はたくさんの問題点を内包しています。
 何故なら患者さんの生活現場での医療だからです。

 

  今後は分化会の形で50人位の勉強会を開催できたらと考えています。
 がん基金の助成金を頂く事業に参加させて頂き、気になっていたテーマに取り掛か

 る機会を頂きました。皆様の応援・ご協力ありがとうございました。
  心より御礼申し上げます。
                 がん患者サポートの会 ぎんなん 辻 恵美子

                  (「ぎんなん」は当協議会加盟団体です)