議事
大阪府がん診療拠点病院の指定要件の見直しについて
その他
現在府の地域がん診療拠点病院(国拠点)は16。他に大阪府独自の考え方から44の府拠点病院が存在しています。併せて大阪府には60の拠点病院が存在することになります。
厚労省は平成25年度、がん診療拠点病院の指定要件見直しを行い、国拠点病院の指定要件はかなりハードルの高いものになりました。既に国拠点に関しては平成26年度第1回大阪府がん診療拠点病院部会に於いて、厚労省の新指定要件に沿った国拠点の見直しが行われ、平成27年度に向けて大阪府から国に推薦される病院が決められました。
そこで今回は府の拠点病院の指定要件をどうするかが議論の対象となりました。
大阪府では厚労省の意向とは異なり、平成21年度より府独自の拠点病院制度を運用しており、厚労省からも、大阪は拠点病院が多すぎると指摘されながらも、現在44病院が指定されています。厚労省が国拠点のハードルを高くした理由は病院間の格差がありすぎることが理由とされていますが、そうなると多すぎる府拠点病院の在り方が問題となってきます。
そこで大阪府は
①がん診療の拠点としての役割の増加、
②拠点病院に求められる機能の多様化、 を課題として掲げ、府拠点病院についても指定要件を見直すことにより、府拠点病院のさらなる質の向上を図ることとしました。
大阪府の府拠点病院指定要件見直しの考え方
○府拠点病院についても、国拠点病院に準じた集学的治療の機能を有すること等が求められるため、指定要件についても基本的に国拠点に準じた水準とする。
○ただし、府拠点病院については比較的小規模な病院が含まれていること等を勘案し、放射線治療や病理診断の実施、人員配置等一部項目について、一定程度緩和する。
○なお、府拠点病院(小児がん)については、平成25年2月に国の拠点病院制度が設けられ、府立母子保健総合医療センターが指定されたことから、府指定拠点病院としては、平成26年度末をもって廃止する。
○国拠点病院に準じ、既指定病院が新要件に対応した取組みを図ることができるよう、一定の経過措置を設ける。
以上の考え方から大阪府がん診療拠点病院指定要件改正の方向性(案)が以下の8つ
の項目で示されました。
1・診療機能、2・緩和ケア、3・診療従事者(医師・医師以外の診療従事者)
4・診療実績、5・相談支援センター、6・院内がん登録、7・その他、8・経過措置
8つの項目に関してはそれぞれ書き出すのは省きますが、国指定要件と同様に義務づけているところもありますが、少しゆるく、望ましいという表現に変えられているものの方が多くみられます。
問題点
確かに府拠点は比較的小規模な病院も多く、国拠点に準ずる指定要件を適用するのは難しいという判断は理解できなくもありませんが、患者からしますと、拠点病院は拠点病院でみな一律、国と府の指定要件に差があることなど知らない方がほとんどです。拠点だからと安心と病院選びの結果、治療に差があるのではたまったものではありません。患者側からしたら府だからと緩い要件で指定されるのは困ります。同じようにハードルを高くして頂きたいと思います。
緩和ケア。小規模病院では専従の専門看護師を置く余裕がないとの理由で専任になりました。なおかつ緩和ケアカンファレンスまでも定期的な開催、とあいまいな表示を希望されましたが、せめて月1回以上の開催をお願いしました。国は週1回以上の頻度をうたっているのですが。ここにも国指定との差が歴然です。
セカンドオピニオン。セカンドオピニオンを受けるのは当たり前の考え方は浸透しているようでしていません。言い出しにくい患者さんも多く、ただ、表示するということではなく、もっとオープンに言えるおおらかな環境づくりをして頂きたい。
拠点に国と府の指定要件の差を縮められないのなら尚更、セカンドオピニオンがオープンに気軽に受けられる環境作りは重要性を秘めています。助かる命を助けるために。
治験の公開。効果的な新薬は命をかけた患者さんならだれもが使いたいと思うのは当たり前です。しかし最近は保険適用でも高価なものも多く、治験希望者が増えています。
病院のHPを開いても公開しているところは少なく、探すのが難しい状況です。
UMIN等の検索機関の情報も掲載して頂きたいと思います。
会議ではかなり意見も活発にだされ、患者側からの意見にも真剣に耳を傾けて頂いたように思います。望ましいという表記に甘えることなく、真剣に高いハードルに向かって努力していきたい、とおっしゃった先生もいらっしゃいました。
拠点病院の在り方も、質より量か、量より質か、難しいところですが、臆することなく意見交換する大切さを感じます。