平成27年度第1回緩和ケア推進部会報告

(開催日)平成28年3月23日  (報告者)佐藤美樹子 (COCORO)

日時 平成28年3月23日 14:00-

場所 大阪府がん循環器病予防センター

 

先ずは、緩和医療にたいする取り組みは盛んになり、医療関係者の意識の向上は必至な環境は整い始めている感は伝わってきましたので、実地を期待している旨を更にお願いし、以下の問題提示と要望を伝えました。
 

◆緩和ケアの案内

告知の際には頭が真っ白になってしまい、医師の言葉が理解できなくなったり、記憶が曖昧になる場合もあるので、後から落ち着いて読めるように病院毎か、大阪府市町村毎かで作成した冊子を渡して欲しいとの要望を伝えた              内容的には、早い時期からの緩和ケアの有効性と、患者とその家族が対象となる事、がん患者サロンやがん患者会、その他にADLを保持する患者会(例として刀根山病院にある喘息や肺癌患者の為に呼吸を楽できるように指導する楽呼の会をあげた)の案内、認定看護士なども紹介して欲しいと要望した

また、病院内だけのサロンや患者会案内にとどまらず、大阪府や市町村という広域での存在の把握と、
リストアップにより、かかりつけ病院以外の院外会への紹介や、患者自身の色々な使い分けが可能になり、治療は別の病院で受けていても、利便性を取りれて近くの患者会に参加が可能になり、恩恵にあずかれる患者が増える
(総会で提示された三木さんやソーシャルワーカーの方のデータが生きると思われる)       

患者が亡くなった後の遺族会の案内の必要性も伝えた

精神的なケアでは精神科や神経内科医師があたる場合が多いが、一般外来だけで手一杯で、じっくり時間をとっての相談や悩みを聞く余裕がないのが実情で、癌患者対応の臨床心理士をおくのが望しい  しかし、経費の問題や人材不足などで無理なら、宗教家の登用も考えてはどうかと提案しました
ホスピスではチャプレンが担当するが、信徒の獲得や布教を目的にしない講習を受けた宗教や宗派を超えて連携している臨床宗教師のネットワークにボランティアで来て頂く事も可能かもしれない

◆在宅ケア

在宅での看取りに行政がシフトチェンジしていく中、医師、看護士、薬剤師、あと歯科衛生士や理学療法士、ヘルパー、ケアマネージャーまでもを含めたチームワークでの対処が必然         この時、チームでの医師のリーダーシップは大切ですが、縦の連携でなく横の連携が質を高める視点となろうかと思われる

訪問診療報酬が大きく、高邁な精神の医師ばかりとは言えない報酬を目的とした訪問医もおり、資質のバラツキが大きいし、専門分野で言えば、癌や緩和やペインクリニックの医師に当たらない事が多く、
適切な対処がなされるか不安もある

その場合、薬剤に関しては医師より専門的な見解でアドバイス出来るように講習を受けた訪問薬剤師の存在意味が大きいので、人材の増員が急がれる
病院や駅近くの、いわゆる『門前薬局』で処方してもらうしかないと思っている患者が多いが、過去の処方を把握し、訪問して患者の病状を実際に見て
医師や看護士と直接連絡を取り合い、適切なアドバイスをしてくれる             
体力が落ちて出向く事が困難な患者に優しいこのシステムを周知させて欲しい
市町村毎に、特にこの機能がある調剤薬局の地図入りの冊子が必要でないか

かかりつけの訪問医は基本的に一名で、例えば泌尿器科の医師が、癌や認知症や糖尿病や整形や皮膚疾患とマルチに対応する事もあり、能力的にふさはしいとは限らない場合もあり、患者優しい処置との見解からは問題ではないか

◆疼痛緩和

ホスピスや緩和病棟や緩和ケアチームでは持続的モルヒネが使用出来るが、自宅では、経口かパッチタイプは使用出来るが、専門的なペインクリニックの医師以外では無理な状況で、痛みが強い患者は自宅や施設での療養や看取りは大変に不安だし困難でもある

しかしながら適切に使用されれば、医療用麻薬の進歩で、疼痛はかなり取り除けるようになって来ているが、持続性麻薬の使用段階では、「沈静」と言う措置で意識が戻らず、コミュニケーションがとれなかったり、大量に麻薬を注入する沈静措置で、死期を早めたのではないかとの後悔が残り、後々まても悩む遺族もあって、使用前に家族への措置の適切な説明と共に、遺族へのケアも大切である
また、麻薬により平常とは違う人格が出現して傷付く遺族もいてこの観点からも「グリーフケア」が必要とされる

◆その他

一方、身の置き所のない辛さは、現在の医療ではどうしようもないのが現実だが、西洋医学のみならずに、漢方やマッサージや針灸などの東洋医学も考慮願いたい

末期では、ステロイドの使用により、食欲が出たり、だるさの緩和や意欲がわいたりと優れた効用が望めるが、長期の使用での副作用とのバランスもあり、専門的知識のない医師の場合も処方出来る指導もあればありがたい

経口の栄養面では、加齢や病中病後の補充目的では一般的にエンシュアやラコールはよく使用されるが、癌特有のサイトカインからの炎症を抑え、体重減少を緩和する栄養飲料もあり、案内も願いたい

癌患者では、延命処置として蘇生法は行われる場合は少ないが、苦痛軽減の看取りや特別なケースではありえる
病院での心臓マッサージは考えにくいが、酸素吸入は時折あるし、施設に入所する患者には、これらの措置の選択は求められ、契約書にサインも必要となるのが、詳しい知識がなく、また精神的に辛い時に医師より説明されても理解が不十分なままに適当に判断している場合が多い

一目瞭然に分かるように、酸素吸入の種類別に挿絵とメリットとデメリットを説明した冊子や画像と共に説明をして欲しい
(医師も説明が簡便で、確実になるので双方に優しい)