平成25年度第2回緩和ケア推進部会報告

(開催日) 平成26年2月10日 (報告者)栄田美枝子

  1. 拠点病院現況報告の取りまとめ事務方から都道府県・国の指定の拠点病院14ヶ所、府指定の拠点病院46ヶ所の緩和ケアの提供体制の推進にかかわる項目の一覧表が示されました。それは平成24年度の緩和ケアに関する集計で、その報告概要を説明されました。<60施設全てが「はい」と回答している項目>5項目と、<充足度の低い項目>として、①緩和ケアチームに協力する常勤の医療心理に携わる者が一人以上と回答、4施設/14施設(28.6%) ②地域の広報等で広報をしていると回答、5施設/14施設(35.7%) ③他施設でがんの診療を受けている、または診療を受けていた患者を受け入れていると回答、8施設/14施設(57.1%) ④緩和ケアチームに協力する社会福祉士の数が一人以上と回答、10施設/14施設(71.4%) ⑤緩和ケアチームにおいて身体症状の緩和に携わる専門的な知識及び技能を有する専従医師数の数一人以上と回答、10施設 /14施設(71.4%)と報告がありました。そこで私も課題があるなと思えるところをピックアップしていたので発言しました。(添付資料:略)
  2. 新指針によるがん診療連携拠点病院における緩和ケアの要件について

     池永昌之委員から説明されました。これは今年1月16日、国の通知であり、がん対策推進基本計画(第二期)~患者とその家族が納得した治療を受けられる環境の整備とチーム医療の体制整備~に基づいて、特に緩和ケアの領域の指定要件を、病院に具体的に体制化を求めるものとなっています。がん医療の過程に緩和ケア医・チームの参加が望ましいとなってきました。

     私は、がん診断時に緩和ケアのインフォームドコンセントを書面でする「入院治療計画書」に挿入を提案してい、「いいアイデアだね」と個別に言っていただいたのも力にして発言しました。

     事務方からは、医療法にかかるから(追加は)難しい旨の説明がありましたが、入院治療計画書は、すべての入院患者にインフォームドコンセントの材料として診療報酬加算され、料金をとっているはず。18年前より、項目が増えています。府でむりなら、国にあげて議論してほしいとお願いしました。また、患者中心の医療にするために、インフォームドコンセントの歴史を調べていましたので、参考にしてもらうことにしました。

     また、事前情報として、「がん診療に携わる全ての診療従事者により緩和ケアが提供される体制を整備すること」の通知文の中で、以下の文章があります。「緩和ケアの」提供がなされる旨を、院内の見やすい場所での掲示や、入院時の資料配布等によりがん患者および・家族に対しわかりやすく情報提供を行うこと」とあります。これの具体化でかなりの前進になるであろうとの思いから発言をきり上げました。

  3. 第2期大阪府がん対策推進計画取り組み内容の検証、評価について

     ここで話題になったのは、医師の緩和ケアチーム研修会の回数、受講者数の伸び悩みです。しかし、緩和ケア医が全国で160人程度の中、大阪の取り組み実績は、全国トップとの報告でした。

     新基準では、研修医は2年目までと、さらに5年までにもう1回と2回の研修が義務付けられるとなると、相当な人数となりキャパスティーを越えるのではないかとの危惧する発言もありました。

     私は、(経験年数を重ねた医師の緩和ケアの実践を求めるため)病院単位での修了者がわかるようにしてほしいと発言すると、インターネットでは、本人の同意の下、情報開示しているとのことでしたが、PCを見ない患者も多い。ぜひ、拠点病院で情報公開して、各医師が率先して研修を受け即実践していただきたいと発言しました。

  4. その他

  5.  堀総長より府の拠点病院の指定要件作成に着手するにあたり、緩和ケアに関するところはこの部会で議論して、拠点病院部会へ提言してほしいと依頼あり異論なく了承となりました。

 

 感想

 今回の新指針によるがん診療連携拠点病院における緩和ケアの要件は、病院にとっては、かなりハードルが高いものになっています。24年度の14施設の集計をみても、体制化できていないと思われるところと、体面は保っているが、人材不足で、個人の力量まかせではと考えさせられるところが多々ありました。 府指定を見るのが、これからになりましたが、現状の国との比較の視点で見たいと思います。

 いずれにしても、医師をはじめ、専門職の流動化・定着率低下は変わらないにしても、新しい医師の緩和ケア研修の義務化によって、向こう5年で、緩和ケアの実践は高まると思います。看護師の研修も種々取り組まれてきました。

 そこで、多くの府民、患者・家族が思う従来の「緩和ケア=末期がん」の思い込みの転換が求められてきます。どうしたら患者会レベルで啓発、普及できるでしょうか?

 まず、今苦しんでいるがん患者さんに私は言いたい「つらいこと心配ごとは悩まないで早い時期に医療者に相談してください。」