平成28年度第1回がん登録部会報告

(開催日) 平成29年2月16日                (報告者)山本ゆき(山本孝史のいのちのバトン)

議事

(1)全国がん登録推進における取組み状況について

(2)がんのり患と医療の状況について    ~大阪府におけるがん登録 第80報を中

   心に~

(3)第二期大阪府がん対策推進計画の取組みについて

 

   府の担当者から、昨年1月からスタートした全国がん登録制度について、また、第二期 大阪府がん対策推進計画の中での大阪におけるがん登録の取り組みについての説明が ありました。
 
 私の方からは、以下の点を指摘させていただきました。

1.「府民への啓発・期待」に関して 啓発努力の不足ではないか、ポスター掲示のみ

 では足りないと思います。   まだ制度が発足して 1 年なのでこれからということで

 した。
2.がん登録のデータをもとにした情報提供への期待 特に今まで情報の少なかった希

 少がん患者さんの期待が大です。自分の治療に役立つ のでは、と思うからですが、

 現実はそのような治療情報は期待できないようです。 しかし、国の第 2 期基本計

 画の「がん登録」のところでは、がん登録によって、罹患 率、生存率のみならず、

 「治療効果等を把握する」とあります。がん登録で収集した 治療面での情報を、患

 者にフィードバックしてほしいとお願いしました。
3.患者会へのデータ開示 国の第 2 期基本計画の「がん登録」の中で、「データの

 活用(国民への還元)が進 んでいない。との指摘がある」と書かれています。 実

 際、「ふたつば」として、登録資料利用申請書を成人病センターに提出してみま し

 た。40 日後に承認がおり、郵送されてきました。「罹患者数の年次推移」の情報

  のみですが、胸腺腫あるいは胸腺がんの患者は「自分一人ではないか」と孤立して

  いる患者さんに、実際、大阪では年間これぐらいの方が同じ病気をもっています、

  とお知らせすることだけでも、患者にとっては大きな励みになります。大阪ではこ

  のくらいなので、人口比からして各県での患者数も大体把握されるのではと思いま

  す。会員も全国におられ、罹患の地域差は感じられません。 罹患者数がわかるだ

 けでも、ほとんど知られていない希少がんに一条の光が差し出したという感じがし

 ます。さらに、患者の役に立つためにがん登録制度をどのよう に活用できるのか、

 考えて行っていただきたいとお願いしました。
4.医療者・現場からの意見  以下の3点をお伝えしました。
 ①院内登録、地域がん登録、学会の癌登録など、目的の異なる癌登録が混在してお

  り、医療現場には混乱とともにかなりの負荷がかかっている。 ②個人情報保護法

 という壁があり、これらのデータベースの連携が取れないことや、 電子カルテの

 データの共有化ができないため、同じ仕事を何度もしなければなりま せん。臨床現

 場の忙しさや実態を考慮してほしい。 ③外科手術については、日本外科学会の

 National Clinical Database という事業 があり、日本中のほぼすべての手術症例が

 登録されます。ただし、入院中のデータ だけで長期予後や外来での診療は含まれま

 せん。これががん登録と結びつくと、ほ ぼすべての外科治療成績がわかります。日

 本外科学会の National Clinical Database とがん登録を結びつけてほしい。